長野県松本市に移住した金子健一さんと、山形県鶴岡市にUターンしたマツーラユタカさんからなるフードユニット「つむぎや」さんによる連載「スープ往復書簡」。
金子さんが住む長野県松本市から山形県鶴岡市のマツーラさんへ。山形県鶴岡市に住むマツーラさんから長野県松本市の金子さんへ旬の食材や地のものを贈り合いながら、それぞれのアイデアをプラスしてつくる新しいスープ。お互いに食材や土地への想いを綴り、気持ちが伝わるお手紙のようなコラムも必読の、こころあたたまるコーナーです。
今回のテーマは「ちょっとの特別」。12月22日のスープの日、そしてクリスマスや年末年始など、特別な日につくりたい・食べたいスープを、それぞれの土地の冬の食材を使って考えていただきました。
レシピにある食材をつくっている、ご縁のあるつくりてさんや食材の特徴などもご紹介します。食を通して人と人をつなぐ、つむぎやさんのやさしさが伝わるちょっと特別なスープを味わってみませんか。
長野県松本市▷▷▷山形県鶴岡市 マツーラさんへの贈りもの
松本と鶴岡のキャッチボールスープ企画の第5回目。
つむぎやの二人で仕事をしている時、金子さんが持ってきてくれた松本の食材で一番イメージ強いのが”松本一本ねぎ”だ。信州を代表する冬の食材。自分よりもひと足先に東京を離れ、松本に移住した金子さん。お義父さんが畑で松本一本ねぎを育てていて、その畑を金子さんも手伝うようになり、年を追うごとに金子さんも任される部分が増えてきたと、いろいろと一本ねぎにまつわるなお話を聞いてきたから、とても親しみがある存在。
今回、金子さんちの畑から採れたてねぎを送ってもらいました。なんたる迫力! 曲がりねぎで、白い部分がとっっっっっても太くて、見事な松本一本ねぎ。通常のねぎよりもじっくり一年以上かけて育てるんだそうで、春と夏に堀り上げ、斜めに植え替えすることで、太くて曲がった姿に育つのだそう。やわらかくて甘さが強く、焼きの工程を入れるとその特徴が際立つのだなぁ。
さぁ、この松本一本ねぎを主役にしてスープをつくりましょうってことで、鮭をあわせて、さらに鶴岡の冬を代表する冬の食材、温海かぶを使ってみることに。酒粕を隠し味にしたミルクスープは、松本と鶴岡の冬の食材が競演した贅沢な一品。鮭はミルクとも酒粕とも相性のよい魚。身体が温まり、ほんのり酒粕の風味がクセになる味わい。12月はクリスマスだったり、一年の締めくくりに友人たちを招いてパーティしたり、食卓をたくさんの人たちで囲むことが多い季節。ひとひねり効いた味は、ゲストのみなさまにもきっと喜ばれるはず!
マツーラユタカ より
人が集まる冬のダイニングに!
鮭と焼きねぎの酒粕クリームスープ
<材料> (3〜4人分)
・鮭 2切れ(甘塩か生鮭)
・松本一本ねぎ 1本(長ねぎでもOK)
・温海かぶ 1個(赤かぶでもOK)
・しいたけ 3個
・マッシュルーム 2個
・にんにく 1/2片
・オリーブオイル 大さじ2
・塩麹 大さじ3と1/2
・酒粕 大さじ1
・昆布出汁 400ml
・白ワイン 50ml
・牛乳 200ml
・ディル 適量(なければパセリやタイムなど)
<下準備>
・鮭は一口大に切る。生鮭の場合は、あらかじめ塩をふって10分ほど置いてからカットする。
・松本一本ねぎは5cmの長さに切る。
・温海かぶは8等分にカット。
・マッシュルームとしいたけは5mm幅に切る。
・しいたけのいしづきは硬い部分を落として、細かく輪切りに。
・にんにくはみじん切りにしておく。
<作り方>
①松本一本ねぎは、焼き網や魚焼きグリルで両面を焦げ目がつくまで焼く。
直火で一度焼くことでねぎの内側がとろっと甘くなり、外側が焼き目ついて香ばしくなります。この一手間でねぎがスープの主役に。
② 鍋にオリーブオイルをひき、にんにくと鮭を入れて弱火で加熱し、鮭を返しながら全体に軽く焼き目をつけていく。
にんにくが焦げ付かないよう、弱めの火加減にして、鮭に軽く火を通していきます。
③鮭が色づいたところで、昆布出汁、白ワイン、温海かぶを入れて中火にする。沸いてきたら弱火にして酒粕と塩麹を入れてよく混ぜ、3分ほど煮込んだあとに、しいたけと①のねぎを入れてさらに2分ほど煮込む。
④最後に牛乳とマッシュルームを加えて、ひと煮立ちさせたら火をとめて、うつわに盛る。ディルを散らしてできあがり。
マッシュルームは煮込み時間が長くなると色も黒ずみ、小さく縮んでしまいます。生でも食べれるきのこで、火の通りも早いので最後に加えて。牛乳も最後に加えて、煮込みすぎないように。
今回のスープづくりに使った食材の
農法についてご紹介します。
●焼畑あつみかぶ
鶴岡は集落ごとに根付いた在来のかぶがたくさんの種類が残っている土地。
特徴的なのが林業と一体になり、焼畑された山の斜面で育つこと。木材を切り出した山の斜面を真夏に焼き、次に植林する前に1シーズンだけかぶを育てる循環農法。山を焼くことで虫などがいなくなり、灰が肥料にもなります。さらに山の斜面という厳しい環境で育つことで、ワイルドで豊かな味わいに。
温海地区では、林業の団体である温海森林組合が温海かぶの栽培を手がけていて、山の管理から焼畑でのかぶづくりまで、一括で手がけることで、なかなか個人レベルでは継続するのが大変な焼畑での農業を、地域の文化として守っていく取り組みとして注目が集まっています。
次回レシピのお届けは、12月22日(木)スープの日♪
鶴岡市のマツーラさんから松本市の金子さんへ食材を贈り、
ちょっと特別なスープレシピをつくっていただきます。
(レシピと文・つむぎや マツーラユタカ )
○Alps gohan
○manoma
○つむぎや
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