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【スープ往復書簡】「茄子と手羽元のスープ」

更新日:3 日前

長野県松本市に移住した金子健一さんと、山形県鶴岡市にUターンしたマツーラユタカさんからなるフードユニット「つむぎや」さんによる連載14回目です。

 

金子さんが住む長野県松本市から山形県鶴岡市のマツーラさんへ。山形県鶴岡市に住むマツーラさんから長野県松本市の金子さんへ旬の食材や地のものを贈り合いながら、それぞれ暮らす土地を結んでスープをつくります。そして二人がお互いに書き綴る、交換日記のようなやりとりも見逃せない、不定期連載です。


今回のテーマは9月の特集にあわせて「お肉」を使ったスープ。それぞれの土地で旬を迎えた食材に、お互いの土地のエッセンスを取り入れながら、新しいスープを考えてもらいます。今回はどんな食材が登場するのでしょうか?また、スープに使うおすすめの食材や調味料、ご縁のある農家さんなどもご紹介。食を通して人と人をつなぐ、つむぎやさんならではのスープをお楽しみください。

 

山形県鶴岡市▷▷▷長野県松本市 金子さんへの贈りもの


今回マツーラくんが送ってくれた山形県の食材は、山形県真室川で在来種の伝承野菜を中心に農作物を栽培したり、冬は藁細工を作っている「工房ストロー」高橋伸一さんの2種類の茄子です。以前、高橋さんの勘次郎胡瓜を使った冷製スープをご紹介しました。

 

この夏、秋田県や山形県をおそった豪雨による甚大な災害。高橋さんが暮らす山形県真室川の土地も大変な被害を受けました。毎年、高橋さんが育てた勘次郎胡瓜をマツーラくんからいただいて家族と味わったり、仕事で使わせていただいたり。今年はマツーラくんが繋げてくれたおかげで貴重な高橋さんのお野菜を買わせていただき、信州の人たちにも山形県のことを食べて知っていただくことができました。

 

高橋さんの野菜の中でも印象的だったのが、加茂茄子のように丸くてジューシーな三次郎茄子と名前のように美しく、火を入れるととろんとやわらかい翡翠(ひすい)茄子。油との相性が良いので、皮をむく、むかない、切り方や切り込みなどを変えて素揚げしたものでスープをつくろうと思いました。

 (左)翡翠茄子(右)三次郎茄子


鶏の手羽元を長ねぎと一緒に炒めてから出汁を加えて煮るので、そこからも旨みが出るようにしています。味は茄子の味を感じて欲しいので塩をベースにして、うす口醤油少々、しょうがや長ねぎも入っているので鶏肉との相性も良いです。スーパーで偶然庄内産「鳥海なめこ」を見つけました。なめこを使うことで優しいとろみも味わえますよ。


金子健一 より


 

秋茄子が一段とおいしい季節に

茄子と手羽元のスープ


<材料> (2〜3人分)
・三次郎茄子 1/2個
・翡翠茄子 1/2個
※ふつうの茄子を使うときは約2個分を使う
・鶏手羽元 4本
・長ねぎ 1本
・なめこ 100g
・しょうが 1/2片
・米油 大さじ2
・出汁 700ml
・塩 小さじ1
・うす口醤油 小さじ1

<下準備>

・皮がやわらかな三次郎茄子は皮目に細かい切り込みを入れ、ひと口大にカットする。皮がしっかりした翡翠茄子は皮をむいて1cm角ほどにカットする。

・なめこはザルにあけて水洗いをして水をきっておく。 

・長ねぎは2cm幅にカットし、しょうがはすりおろす。


<作り方>

①鍋を中火で熱し、米油を加え、鶏手羽元を焼く。途中で長ねぎを入れてこんがり焼き色がつくまで焼く。

長ねぎと手羽元を焼くことで、焼いたねぎの香ばしさと鶏肉の旨みを味わうことができる。



② ①の鍋に出汁、しょうが、なめこ、塩を入れて中火で煮る。ひと煮立ちしてきたら弱火にし、蓋をして10分ほど煮る。


煮ている間にフライパンなどで、茄子を素揚げする。

最初に鶏肉と長ねぎを鍋の中で炒めるときに茄子も一緒に炒めることもできますが、茄子は別で素揚げした方が形も崩れにくく、色みもきれいに仕上ります。もし、もうひと手間加えられる余裕があれば、半分の茄子を素揚げで、もう半分の茄子を焼き茄子にして入れてみてください。


④② に素揚げした茄子とうす口醤油を入れて味を調え、ひと煮立ちさせて完成。

 

スープづくりに使った、ご縁のあるつくり手さんをご紹介。



●山形県「工房ストロー」高橋伸一さんの三次郎茄子、翡翠茄子

この夏、高橋さんが暮らす山形県真室川の土地も豪雨による甚大な被害を受けました。伸一さんで農家五代目。ということは100年以上前から代々種採りしながら農業をしてきたことになります。種をつないで、つないで。とても尊い営みです。種のことが心配でした。先日、高橋さんと電話でお話しをしたときに来年の種は確保することができました!と教えてくれました。本当に良かったです。この夏から秋にかけて高橋さんから届いたお野菜の中でも印象的だったのが三次郎茄子と翡翠茄子でした。揚げ浸しや焼き茄子、厚切りの輪切りにしてステーキに。どの調理法でもとろんと優しい食感で茄子の深みのある甘さが忘れられません。


(レシピと文・つむぎや 金子健一

 

○Alps gohan


○manoma


○つむぎや






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